「精神看護って何をやればいいの?」「実習で精神科の患者に対して何を話したらいいのか解らない?」そういう声が聞こえてきました。
確かに私も看護学生時代は一般科と違い精神看護は看護技術が少ないため精神看護実習の時の行動計画は本当に悩みました。精神看護実習の3週間は殆ど同じ看護計画でした。
精神看護実習の時は、正直何を観察したらよいのか解らず3週間を過ごしてきました。
精神看護の楽しさが解らず看護学校を卒業。臨床に出ても「精神科には絶対就職はしない」と思っていました。
ところが現在、精神科病院に就職して「楽しい」「精神科に就職してよかったな」と思うようになり「将来は精神看護分野に進もう」と思うようになりました。
自分も看護学生時代から人間関係に悩み勉強や看護教員との関係が苦手でした。看護学校を卒業し臨床現場で働いても「人間関係」に悩み、転職を繰り返して行く中で「将来」のことが本当に不安になりました。食欲不振や不眠、働く意欲の低下が起こるようになり「自分はこのままでいいのか、看護師なって本当に良かったのかな」と思うようになりました。その経験から自分が辛かった経験を活かし精神科病院に就職することに決めました。
配属部署は「精神科スーパー救急病棟配属」となりました。その部署は入院から退院までの間で患者の病状や治療の効果、そして看護により患者の病状が良くなる過程を観察することができ精神科の楽しさを学ぶことができました。
「隔離・拘束していた患者が一般病室で生活できるようになった」「薬物療法で幻覚妄想が無くなった」「退院後、地域で生活ができるようになった」などの変化がみられるようになったからです。
そして何よりも一番嬉しかったことは患者から「ありがとう」や「あなたが担当で本当に良かった」って言われたことです。
精神看護学実習3週間の中で「精神看護」を理解することは本当に難しいと思います。
精神看護学実習中で患者から怒鳴られ嫌な思いをした学生もいました。それは臨床で働いてからも患者から怒鳴られることやクレームを受けることは今でも経験しています。その時はまず自分で解決しようとせず、教員や実習指導者にすぐに相談して早期に対応することが大事です。それは患者の希望に寄り添うことです。特に慢性期や回復期の患者に対して「どのようになりたいか」希望を聞くようにしています。私が患者に希望を聞いたときに「退院したい」「働いてみたい」と話してくれました。そしてその患者に対して少しでも希望が叶うように必要な援助を考えて看護を行うようにしています。
急性期の患者に対しては「今は何か一番つらいのか」を傾聴し、一番辛いことが少しでも軽減できるよう看護を行っています。中にはコミュニケーションが困難の場合もあるので、その場合は入院前の情報や家族からの情報を中心にアセスメントを行い看護援助に関わっています。
「精神科は楽」「精神科は看護技術を学ぶことができない」と看護師の先輩が話したことを耳にしたことがあるかもしれません。しかし精神科医療も日進月歩。治療方針や看護も変わっています。
今までは長年にわたり精神科患者の治療は「患者の保護」という目的で入院医療に偏重する施策を進めてきました。しかし入院医療から現在は地域処遇移行となり、2004年精神保健医療福祉施策の改革ビジョンによる「入院治療中心から地域生活中心へ」と移行となり退院支援に力を入れるようになりました。
しかし精神科患者が退院後に「偏見と差別」や「環境の変化に適応できない」ことにより再入院を繰り返すなど退院支援の難しさが問題になっています。
退院支援のサポートができることが今の精神看護に必要な看護技術だと感じています。
現在の日本の5大疾病の中で「精神疾患」が含まれています。精神科病院以外でも精神疾患患者も入院している時代です。
精神科以外でも精神看護を行うケースが増えていくと思われます。例えば救急や母性看護、老年看護や在宅看護の場面でも「精神看護」の技術が必要になると思います。
私が臨床経験から学んだことは「その人らしさを考えて看護をすることができる」ことが精神看護であると感じています。
「精神看護の楽しさ」について看護学生の参考になれば幸いです。
■名 前:りんごナース
■Twitter:@tubaki_rinngo
■ブログ :りんごナース 精神科看護師として生きる
准看護師として働きながら正看護師取得するため進学。2010年に看護師免許を取得。2012年から精神科病院に就職。精神科ではスーパー救急を6年、内科病棟を3年勤務。
精神科の楽しさに気づき2015年に放送大学に入学し2018年に放送大学卒業。
そして2021年8月20日「看護学士」を取得しました。
2022年の公認心理師試験に向けてチャレンジ中
将来は「精神科のスペシャリスト」として活躍していくことが目標。そのために日々のブログやSNSを発信している。